大判例

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東京地方裁判所 昭和46年(ワ)4477号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕本件事故現場である多摩川大橋は国道一号線の一部を構成し、被告の設置・管理にかかるものであるが、道路部分は上下六車線であるのに橋上部分は、従前は上下四車線にすぎなかつたところから、交通量の増加に伴ない、橋上の歩道のうち六メートル(片側三メートル)の部分を車道に改装して上下六車線とし、これに上下とも第一、第二、第三の通行帯を設け、旧歩道部分は、二輪車・軽および軽車両の専用道路たる第一通行帯に規制標識で指定されていたこと、そして旧歩道部分が車道よりも約一八センチメートル高くなつていたが、右改装後には、該段差は第一通行帯と第二通行帯との間に介在するに至つたことは、いずれも当事者間に争いがない。

ところで国家賠償法第二条第一項にいう道路の設置または管理上の瑕疵とは、当該道路が道路として通常備えるべき性質または設備を欠いていることをいうものと解すべきである。そして道路の構造は当該道路の交通状況を考慮し、安全かつ円滑な交通を確保できるに足りるものでなければならない(道路法第二九条)から、道路の設置または管理に瑕疵があるか否かは、当該道路の通行が予定されている車両ないし歩行者にとつての安全性の有無によつて決せられることとなる。しかして前記の如く、本件加害車の通行した部分は二輪車・軽および軽車両の専用とされている通行帯であつたというのであるが、道路交通法第二〇条第三項によれば、道路に車両通行帯が設けられ、その通行帯に車両の通行区分が指定されている場合には、右通行区分に従つて車を運転しなければならないとされており、この車両通行区分の規制は、最近の交通事情の悪化とそれに伴なう交通事故の激増に鑑み、自動車運転者に対しては、交通事故防止のため、その遵守がとくに強く要請されること、また仮りに右の通行規制に違反して自動車で第一通行帯を通行する者があるとしても、該通行帯は、三メートルの幅員を有しており、しかも第一通行帯を通行する車両が第二通行帯へ移行する必要性はない(前記の如く段差のある部分は橋の部分であつてその区間で右折ないし左折する場所はない。)こと等原告の明らかに争わない事実を考慮すれば、前記段差の存在は、車両の安全性にとつて障害とはならず、従つて被告には原告主張の如き道路管理上の瑕疵はなかつたものというべきである。

原告は前記車両通行区分の規制は現実にはほとんど守られておらず、本件現場ではこれまでにも多数の事故が発生していたと主張する。しかし、本件に現われた全証拠をもつてしても、右認定を覆えすに至るほど多数の自動車が右の車両通行区分の規制を無視して第一通行帯を走行し、前記段差の故に事故をひき起していた事実を認めるに足りないので原告の該主張は所詮理由がないものというほかはない。

(渡部吉隆 田中康久 大津千明)

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